お腹の張りを根本改善|即効ケアと腸活ガイド

お腹の張りを根本改善|即効ケアと腸活ガイド

西村 今日子

2025年8月21日 8:48

デスクワークやストレスで、お腹が張って苦しいと感じていませんか?その不快なお腹の張りは、集中力低下など日々の不調にも繋がります。この記事では、なぜ張りが起こるのかという原因から、今日から試せるガス抜きポーズや食事法まで、根本改善のための具体的な方法を網羅。あなたに合った解消法がきっと見つかります。

 

在宅ワークや長時間の会議などで、デスクに向かう時間が増えていませんか?
さらに、忙しさの中で気づかないうちにストレスを溜め込んでいることもあるかもしれません。
そんなとき、ふと「お腹が張っていて苦しい」「なんとなく違和感がある」と感じた経験はないでしょうか。

実はこの“お腹の張り”には、腸の動きやガスの滞り、自律神経の乱れなど、さまざまな原因が関係しています。
放っておくと、集中力が続かない、食欲が落ちる、気分がすっきりしないといった、日々のパフォーマンスにも影響を及ぼす可能性があるのです。

この記事では、こうしたお腹の張りがなぜ起こるのかを医学的な視点からやさしく解説しながら、今日から取り入れられる具体的な対処法やセルフケアのコツ、さらに症状が続く場合に考えておきたいことまでご紹介します。


なぜ「お腹の張り」は起こるのか?そのメカニズムとは

医学的には「腹部膨満感」と呼ばれるこの状態は、主に消化管にガスが過剰にたまったり、内容物が腸内で停滞したりすることによって引き起こされます。

お腹の張りや不快感の背景には、腸の運動機能やガスの発生・排出、さらには自律神経の影響など、いくつかのメカニズムが関係していると考えられています。

見過ごされがちな空気の飲み込み:早食いや会話の習慣

実は、食事中に知らず知らずのうちに多くの空気を飲み込んでいることが、お腹の張りの意外な原因になっていることがあります。

このように、無意識に空気を飲み込んでしまう状態は「呑気症(どんきしょう)」と呼ばれ、特に早食いや会話をしながらの食事、ストレスの影響などが関係しているとされています。

早食い: 食事を急いでかき込むと、食べ物と一緒に大量の空気を胃に送り込んでしまいます。

会話: 食事中の会話が多い場合も、空気を飲み込む機会が増えます。

炭酸飲料: 炭酸飲料に含まれるガスも、お腹の張りを助長する要因となることがあります。

食事の時間をゆったりと取り、一口ごとに丁寧に噛むこと、そしてなるべく静かな環境で食事に集中することは、空気の飲み込みを減らすためにとても効果的です。

小さなことではありますが、こうした心がけが、呑気症による腹部の張りを和らげる手助けになります。

腸内環境の乱れが引き起こすガスの過剰生成

腸内には、善玉菌悪玉菌、そして日和見菌が共に存在し、複雑な生態系である腸内フローラを構成しています。このバランスが崩れて悪玉菌が優位になると、食べ物が分解される過程で水素やメタン、硫化水素といったガスが過剰に発生することがあります。

高脂質・高タンパクな食事: 一部の研究では、肉類や脂っこい食事は悪玉菌の増殖を促しやすい傾向にあることが報告されています。1 

食物繊維の偏り: 特定の食物繊維(特に不溶性食物繊維の過剰摂取)や、FODMAP(後述)という特定の糖質の多い食品も、腸内で発酵しやすく、ガス発生の原因となることがあります。

善玉菌の減少: ストレスや抗生物質の使用などによって善玉菌が減少すると、腸内環境が悪化しやすくなります。

腸内環境を健やかに保つことは、ガスが過剰に発生するのを防ぐためにも大切なポイントとなります。

ストレスと自律神経の乱れがお腹に与える影響

脳と腸は密接に連携しており、これを脳腸相関と呼びます。ストレスは自律神経のバランスを乱し、この脳腸相関を介して腸の働きに悪影響を及ぼすことがあります。2

蠕動運動の低下: ストレスが加わると、腸の蠕動(ぜんどう)運動が低下し、内容物の通過が遅れてガスが溜まりやすくなります。

知覚過敏: 精神的な緊張が高まると、腸のガスに対する感受性が高まり、少量のガスでもお腹の張りを強く感じることがあります。

過敏性腸症候群(IBS): ストレスが主な要因となり、腹痛や便通異常(下痢や便秘)とともに腹部膨満感を伴う消化器疾患です。

日々のストレスを上手にコントロールしていくことは、お腹の張りを和らげるうえでも大切な要素のひとつです。

便秘と消化不良:滞りが生み出す不快感

便秘は、お腹の張りの原因としてもっとも一般的なもののひとつです。腸内に便が長くとどまることで、便に含まれる未消化物が腸内細菌によって発酵し、大量のガスが発生します。また、たまった便が腸を物理的に圧迫することも、張りや不快感を強める要因となります。

さらに、消化不良もお腹の張りを引き起こすことがあります。たとえば、胃酸や消化酵素の分泌が不十分な状態では、食べ物が十分に分解されないまま腸へ送られてしまい、それが腸内で異常発酵を起こしてガスの原因になることがあります。

水分不足: 水分が不足すると、便の水分量が減って硬くなり、スムーズに排泄するのが難しくなります。

食物繊維不足: 便の量を増やし、腸の動きを促す食物繊維が不足すると便秘になりやすくなります。

運動不足: 身体活動が少ないと、腸の動きも鈍くなりがちです。

規則正しい排便習慣と、消化を助ける食生活を心がけることが大切です。


今すぐ試せる!お腹の張りを和らげる即効性のあるアプローチ

急にお腹の張りを感じたときでも、すぐに実践できる対処法を知っておくと安心です。ここでは、自宅や外出先でも手軽に行え、ガスの排出を助ける具体的な方法をご紹介します。

滞ったガスを排出する「ガス抜きポーズ」とマッサージ

お腹に溜まったガスを物理的に排出することは、即効性のある対処法の一つです。特定の姿勢をとったりお腹を優しくマッサージすることで、腸の動きが促され、ガスの排出を助けることができます。

ガス抜きポーズ(仰向け膝抱え)

・仰向けに寝て、両膝を曲げ、胸にゆっくりと引き寄せます。

・両腕で膝を抱え込み、太ももでお腹を圧迫するように意識します。

・その状態で深呼吸を数回行い、お腹の圧迫感を意識しながら、ガスが排出されるのを待ちます。片足ずつ行うのも効果的です。

お腹のマッサージ

・仰向けに寝て、両手を重ねておへその右下あたりに置きます。

・おへそを中心に「の」の字を描くように、時計回りに優しく、ゆっくりと円を描きながらマッサージします。

・力を入れすぎず、お腹の硬さを感じながら、腸の動きを意識して行いましょう。5分程度続けるのが目安です。

これらのポーズやマッサージは、腸の自然な動きをサポートし、溜まったガスをスムーズに排出する手助けになると考えられています。

飲み物・食べ物で症状を軽減する方法

胃腸を温めたり、特定の成分を取り入れたりすることで、お腹の張りを一時的に和らげることも期待できます。

温かい飲み物: 白湯やハーブティーで胃腸を内側から温めることは、心身のリラックスにも繋がります。特にペパーミントやカモミールといったハーブティーは、その穏やかな作用から食後の飲み物として古くから用いられてきました。お腹の張りが気になるときに、ゆっくりと飲むことで、不快感が和らぐことがあります。

生姜: 生姜に含まれるジンゲロールやショウガオールには、消化促進作用や体を温める作用があります。温かい生姜湯を飲む、料理に積極的に取り入れるといった方法で摂取できます。

消化酵素を多く含む果物: パイナップルに含まれるブロメライン、パパイヤに含まれるパパインといった消化酵素は、タンパク質の分解を助け、消化をサポートします。食後のデザートとして少量摂るのも良いでしょう。

ご紹介した食品は、あくまで一時的な緩和策にすぎません。根本的な改善のためには、日々の食生活全体を見直すことが大切です。

ツボ押しで内側から働きかける

東洋医学では、体の特定のツボを刺激することで、不調を和らげると考えられています。お腹の張りにも効果が期待できるツボがいくつかあります。

天枢(てんすう): おへそから指3本分ほど外側に左右対称に位置します。消化器全般の不調に効果があるとされ、便秘や下痢、お腹の張りに役立ちます。

関元(かんげん): おへそから指4本分ほど下(恥骨の上)に位置します。体を温め、消化器の機能を整える効果が期待できます。

足三里(あしさんり): 膝のお皿の下から指4本分ほど下の、すねの外側に位置します。胃腸の機能を高める万能のツボとされています。

これらのツボを、息を吐きながら親指などでゆっくりと5秒ほど押し、息を吸いながら力を緩める、という動作を数回繰り返しましょう。強く押しすぎず、心地よいと感じる程度の圧で行うことが大切です。


軽やかなお腹を維持するための食生活の極意

お腹の張りを根本から改善し、長く軽やかな状態を維持するためには、日々の食生活を見直すことが何より大切です。ここでは、すぐに取り入れやすく効果的な食の工夫をご紹介します。

「お腹に優しい」だけじゃない!実践的なFODMAPの考え方

一般的に「お腹に優しい」とされる食品でも、人によってはお腹の張りの原因になることがあります。これは、FODMAP(フォドマップ)と呼ばれる、小腸で吸収されにくく大腸で発酵しやすい特定の糖質が関係している場合があるためです。

FODMAPは、以下の頭文字から取られています。

Fermentable(発酵性の)

Oligosaccharides(オリゴ糖)

Disaccharides(二糖類:乳糖など)

Monosaccharides(単糖類:果糖など)

Polyols(ポリオール:キシリトールなどの糖アルコール)

これらの食品は健康な方には問題ないことが多いですが、お腹が敏感な方、特に過敏性腸症候群(IBS)をお持ちの方の中には、FODMAPを多く含む食品を摂ることでガスが増え、お腹の張りや不快感を強く感じることがあります。

実際に、オーストラリアの大学で行われた研究では、過敏性腸症候群の患者に低FODMAP食を取り入れてもらったところ、およそ75%の方が腹痛や腹部の膨満感といった症状の改善を実感したと報告されています。3   この研究は、特定の炭水化物を制限することで、腸の不調に悩む人々の生活の質を高める可能性があることを示しています。

高FODMAP食品の例

オリゴ糖: 玉ねぎ、ニンニク、小麦製品、豆類

乳糖: 牛乳、ヨーグルト、チーズなどの乳製品

果糖: りんご、マンゴー、蜂蜜、高果糖コーンシロップ

ポリオール: マッシュルーム、アボカド、人工甘味料(ソルビトール、キシリトールなど)

低FODMAP食品の例:

主食: 白米、オートミール、米粉パン

野菜: キャベツ、レタス、トマト、きゅうり、ジャガイモ

果物: バナナ、オレンジ、ぶどう、イチゴ

乳製品: 乳糖を含まない代替乳(アーモンドミルクなど)、ハードチーズ

その他: 肉、魚、卵

FODMAP食は、まずすべてのFODMAPを厳しく制限する「除去期」から始め、徐々に食品を再導入して自分の体に合うものを見つける「再導入期」、そして長期的に続けやすい状態を目指す「維持期」という段階的なアプローチが推奨されています。自己判断で過度に制限すると、必要な栄養素が不足してしまうこともあるため、状況に応じて専門家のアドバイスを受けることが望ましいでしょう。

意外と知らない?食物繊維との賢い付き合い方

食物繊維は腸内環境を整えるうえで欠かせない存在ですが、その種類や摂り方によっては、お腹の張りを感じやすくなることもあります。食物繊維には、水に溶ける「水溶性食物繊維」と、水に溶けない「不溶性食物繊維」の大きく分けて2種類があります。

水溶性食物繊維: 水に溶けてゲル状になり、便を柔らかくし、排便をスムーズにします。また、善玉菌のエサとなり、腸内環境を整えます。

多く含む食品: 海藻類、きのこ類、果物(リンゴ、バナナ)、大麦、オーツ麦など。

不溶性食物繊維: 水に溶けず、便のカサを増やして腸を刺激し、排便を促します。しかし、過剰に摂取すると、便が硬くなりすぎたり、腸内でガスが発生しやすくなったりすることがあります。

多く含む食品: 穀類(玄米、ライ麦パン)、豆類、根菜類、野菜の硬い部分など。

お腹の張りが気になるときは、特に不溶性食物繊維の摂りすぎに注意し、水溶性食物繊維を意識して摂るとよいでしょう。また、一度に大量に摂るのではなく、少しずつ量を増やしていくのが望ましいです。その際には、十分な水分補給も忘れずに行うことが大切です。

腸内環境を育むプロバイオティクスとプレバイオティクス

健康的な腸内環境を保つことは、お腹の張りを防ぐために欠かせません。その支えとなるのが、プロバイオティクスとプレバイオティクスです。

プロバイオティクス: 腸内の善玉菌を増やす生きた微生物(乳酸菌やビフィズス菌など)を含む食品です。

多く含む食品: ヨーグルト、納豆、味噌、キムチ、漬物など。

プレバイオティクス: 腸内の善玉菌の餌となり、その増殖を助ける食品成分(オリゴ糖や水溶性食物繊維など)です。

多く含む食品: 玉ねぎ、ごぼう、アスパラガス、バナナ、はちみつなど。

プロバイオティクスとプレバイオティクスをバランスよく摂ることで、腸内フローラの改善につながり、ガスの発生を抑える効果が期待できます。ただし、FODMAPの考え方に基づくと、一部のプレバイオティクス食品(たとえば玉ねぎやごぼう)は敏感な方にとってお腹の張りの原因になることもあるため、ご自身の体調に合わせて摂取量を調整することが大切です。

忙しくても実践できる「食べるスピード」と「よく噛む」習慣

忙しい日々のなかで、つい食事を急いで済ませてしまう方は少なくありません。しかし、そのような食べ方が知らず知らずのうちにお腹の張りを引き起こしていることもあります。

ゆっくり食べる: 食事に十分な時間をかけ、一口ずつ丁寧に噛むことで、空気の飲み込みを減らすことができます。目安として、一口30回を目標に噛む習慣をつけましょう。

ながら食いを避ける: テレビを見ながら、スマートフォンを操作しながらの「ながら食い」は、集中力が散漫になり、咀嚼がおろそかになりがちです。食事の時間は、食事に集中する「食の時間」と意識しましょう。

小分けにする: 一度に大量に食べるのではなく、食事を数回に分けて少量ずつ摂ることも、胃腸への負担を軽減し、消化を助ける方法です。

これらの習慣は、消化を助け、お腹の張りを軽減するだけでなく、食事の満足度を高め、食べ過ぎを防ぐ効果も期待できます。


日常に取り入れる「動く習慣」がお腹の張りを遠ざける

運動不足もまた、お腹の張りを感じやすくなる大きな要因のひとつです。適度に体を動かすことで、腸の蠕動運動が促され、ガスの排出を助けるだけでなく、ストレスの軽減にもつながります。

わずかな時間で効果を出す!デスクワーク中の簡単ストレッチ

長時間座りっぱなしのデスクワークは、腸の動きを鈍らせ、ガスが溜まりやすい状態を作ります。意識的に体を動かす時間を取り入れましょう。

ねじりストレッチ: 椅子に座ったまま、背筋を伸ばし、上半身をゆっくりと左右にねじります。深く息を吐きながらねじることで、お腹への適度な刺激を与え、腸の動きを促します。

膝抱えストレッチ(座ったまま): 椅子に座った状態で、片方の膝を胸に引き寄せ、お腹を軽く圧迫します。数秒キープし、反対側も同様に行います。これは「ガス抜きポーズ」の簡易版として、オフィスでも実践しやすいでしょう。

立ち上がって歩く: 1時間に一度は椅子から立ち上がり、軽く歩いたり、伸びをしたりするだけでも効果的です。トイレ休憩などを活用し、意識的に体を動かす時間を作りましょう。

これらの短い時間の活動でも、腸の動きを活性化し、お腹の張りの軽減に繋がります。

腸の動きを活発にするウォーキングと軽い運動のすすめ

日常的に体を動かす習慣を持つことは、お腹の張りを予防するうえでとても効果的です。特に有酸素運動は、腸の働きを活発にする助けとなります。

イタリアで行われた研究では、過敏性腸症候群の患者を対象に、運動が症状にどのような影響を与えるかが検証されました。この研究によると、ウォーキングやジョギングなどの中程度の運動を定期的に行うことで、腹痛や腹部の膨満感といった症状が改善し、患者の生活の質(QOL)が向上する可能性が示されています。4  適度な運動は腸の動きを促すだけでなく、ガスの排出を助け、ストレスの軽減にもつながるとされています。

ウォーキング: 1日30分程度のウォーキングを習慣にしましょう。通勤時に一駅分歩く、昼休憩中に軽く散歩する、といった形でも十分です。速すぎず、心地よいペースで続けることが大切です。

軽いジョギングや水泳: 体力に自信がある方は、これらも良い選択肢です。体を動かすことで全身の血行が促進され、内臓の働きも活発になります。

ヨガやピラティス: これらの運動は、呼吸と体の動きを連動させることで、自律神経のバランスを整え、腸の動きを改善する効果も期待できます。特に、腸を刺激するポーズや、リラックス効果の高いポーズを取り入れると良いでしょう。

無理のない範囲で継続できる運動を見つけ、日々の生活に取り入れることが重要です。


ストレスを味方につける!お腹の張りを軽減する心のケア

ストレスはお腹の張りに大きく関わる要因のひとつです。完全にストレスをなくすことは難しいかもしれませんが、ストレスとの向き合い方を工夫することで、お腹の張りを和らげることが期待できます。

呼吸法がもたらすリラックス効果とその実践

自律神経は、私たちの意識とは別に体のさまざまな機能を調整しています。ストレスはその自律神経のバランスを崩し、腸の動きにも影響を与えることがあります。一方で、呼吸は唯一、自律神経の働きを意識的にコントロールできる方法でもあります。

腹式呼吸

・仰向けに寝るか、椅子に深く腰掛け、リラックスした姿勢をとります。

・片手を胸に、もう片方のお腹に置きます。

・鼻からゆっくりと息を吸い込み、お腹が膨らむのを意識します(胸はあまり動かさない)。

・口からゆっくりと、お腹をへこませながら息を吐き出します。

・この呼吸を5分から10分程度繰り返します。

腹式呼吸は、副交感神経を優位にし、心身をリラックスさせる効果があります。これにより、ストレスが軽減され、腸の動きもスムーズになることが期待できます。仕事の合間や就寝前など、意識的に取り入れると良いでしょう。

質の高い睡眠が腸に与える好影響

睡眠は心身の疲れを癒すだけでなく、自律神経のバランスを整え、腸の働きを正常に保つうえでも大切な役割を果たします。睡眠不足が続くとストレス反応が強まり、腸の不調を引き起こすことも考えられます。

ある実験では、ラットに対して7日間にわたる睡眠剥奪を実施し、その影響を調べました。特定の装置を用いてラットが眠りに入る直前に自動的に刺激を与え、継続的に覚醒状態を保つことで、睡眠不足の状態を維持させたのです。この睡眠不足により、ラットは不安やストレスに関連した行動を示し、同時に腸内細菌のバランスや代謝産物にも乱れが確認されました。5 この結果は、睡眠の質が腸内環境を介して心身の健康に影響を及ぼす可能性を示しています。

質の良い睡眠は、日中のストレスに対する耐性を高め、お腹の張りを軽減するうえでも、見落とせない重要な要素といえるでしょう。

規則正しい睡眠習慣: 毎日決まった時間に就寝・起床することを心がけましょう。これにより、体のリズムが整い、自律神経のバランスも安定しやすくなります。

睡眠環境の整備: 寝室を暗くし、適度な温度と湿度に保つことで、質の高い睡眠を促します。

寝る前のリラックス: 就寝前のカフェイン摂取やスマートフォンの使用は避け、温かいお風呂に入る、軽いストレッチをするなど、リラックスできる時間を作りましょう。

十分な睡眠は、日中のストレス耐性を高め、お腹の張りの軽減にも繋がる、見過ごされがちな大切なポイントです。


市販薬を活用する際のポイントと注意点

生活習慣の改善に加えて、市販薬がお腹の張りの症状を和らげる手助けになることがあります。ただし、ご自身の症状や体質に合った薬を選ぶことが大切です。

整腸剤と消化剤、それぞれの役割と選び方

市販されているお腹の薬には様々な種類がありますが、お腹の張りに対しては主に「整腸剤」と「消化剤」が用いられます。

整腸剤

役割: 乳酸菌やビフィズス菌といった善玉菌を補給し、腸内環境を整えることで、ガスの過剰な発生を抑えたり、便通を改善したりします。

選び方: ご自身の腸内環境に合う菌の種類(乳酸菌、ビフィズス菌など)や、複数の菌が配合されているものを選ぶと良いでしょう。即効性よりも、継続して服用することで効果が期待されます。

消化剤

役割: 消化酵素(アミラーゼ、リパーゼ、プロテアーゼなど)を補給し、食べ物の消化を助けます。消化不良によるガスの発生を抑える効果が期待できます。

選び方: 食べ過ぎや消化不良が原因でお腹が張る場合に有効です。脂肪の消化を助ける成分、タンパク質の消化を助ける成分など、ご自身の食生活に合わせて選びましょう。

ガスを直接排出する薬: ジメチルポリシロキサンなどの成分は、腸内で泡立ったガスを小さくまとめることで、おならとして排出されやすくする効果があります。即効性を求める場合に有効です。

注意点

市販薬は症状を一時的に和らげるものですが、根本的な原因を解決するものではありません。用法・用量を守って使用し、症状が改善しない場合や悪化した場合は、自己判断での服用を続けずに医療機関を受診されることをおすすめします。また、他の薬との飲み合わせや持病の有無によっては使用できないこともあるため、薬剤師に相談することも大切です。


それでも症状が続くなら?専門の医療機関に相談すべきサイン

これまでご紹介した対処法を試してもお腹の張りが改善しない場合や、特定の症状が現れた場合には、自己判断せずに専門の医療機関を受診することが大切です。お腹の張りの裏には、時として重い病気が隠れていることもあるためです。

放置してはいけない「お腹の張り」の危険な兆候

お腹の張りと同時に以下のような症状が現れた場合は、できるだけ早く医療機関を受診されることをおすすめします。

激しい腹痛や持続的な痛み: 日常生活に支障が出るほどの強い痛みや、時間が経っても痛みが引かない場合。

発熱、吐き気、嘔吐: お腹の張りに加えて、これらの症状がある場合。

体重の減少: 特に理由もなく、短期間で体重が減少している場合。

血便や黒い便: 便に血液が混じっていたり、タール状の黒い便が出たりする場合。

便の性状の変化: 急に便秘と下痢を繰り返すようになったり、便が細くなったりする場合。

黄疸: 目や皮膚が黄色くなる症状。

腹部のしこり: お腹に触れた時に、硬いしこりを感じる場合。

症状の急速な悪化: 数時間から1日程度の短期間で、お腹の張りが急激に悪化し、苦痛が増している場合。

これらの症状は、腸閉塞や炎症性腸疾患、大腸がん、胃がん、膵臓がん、婦人科系の疾患など、専門的な治療を必要とする病気の兆候である可能性があります。

適切な検査と治療の選択肢

医療機関を受診すると、問診や診察に加え、必要に応じて以下のような検査が行われます。

血液検査: 炎症の有無や貧血の有無などを調べます。

腹部X線検査: お腹のガスや便の貯留状況を確認します。

腹部超音波検査(エコー): 臓器の状態や異常な液体の貯留などを調べます。

胃カメラ(上部消化管内視鏡検査): 胃や十二二指腸の状態を直接観察し、炎症や潰瘍などを確認します。

大腸カメラ(下部消化管内視鏡検査): 大腸の内部を直接観察し、ポリープや炎症、がんなどの有無を確認します。お腹の張りや便通異常が続く場合に特に重要です。

検査結果に基づき、医師は適切な治療法を提案します。生活習慣の改善指導はもちろんのこと、薬物療法(整腸剤、消化管運動改善薬、漢方薬など)、場合によっては手術が必要となるケースもあります。


軽やかな毎日を取り戻すために、今日からできる一歩

お腹の張りは、多くの方が経験する不快な症状ですが、その原因はさまざまです。この記事でご紹介したように、日々の食生活の見直しや適度な運動、ストレスとの上手な付き合い方を取り入れることで、多くの場合、改善が期待できるでしょう。

「自分にとって何が原因なのだろう?」 「今日から何ができるだろう?」と考えることが、軽やかなお腹を取り戻す第一歩です。まずは、一つの習慣から始めてみてはいかがでしょうか。例えば、食事の際に一口をゆっくり多めに噛んでみる、毎日10分ほど散歩をする、寝る前に深呼吸を数回行うなど、小さなことでも構いません。

もし、ご自身の努力だけでは改善が感じられなかったり、先にご紹介した注意すべき兆候に当てはまる場合は、迷わず専門の医療機関を受診してください。早めに適切な診断と治療を受けることが、健康な体を取り戻すための最も確実な方法です。

今日からできる「一歩」を踏み出し、お腹の張りのない、快適な毎日を目指しましょう。

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参考文献

1 Singh RK, Chang HW, Yan D, Lee KM, Ucmak D, Wong K, Abrouk M, Farahnik B, Nakamura M, Zhu TH, Bhutani T, Liao W. ”Influence of diet on the gut microbiome and implications for human health.” J Transl Med. 2017 Apr 8;15(1):73. doi:10.1186/s12967-017-1175-y. PMID: 28388917; PMCID: PMC5385025.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28388917/

2 Konturek, P. C., Brzozowski, T., & Konturek, S. J. (2011). ”Stress and the gut: pathophysiology, clinical consequences, diagnostic approach and treatment options. ” Journal of Physiology and Pharmacology, 62(6), 591–599.PMID: 22314561

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22314561/

3 Black, C. J., Staudacher, H. M., & Ford, A. C. (2022). Efficacy of a low FODMAP diet in irritable bowel syndrome: systematic review and network meta-analysis. Gut, 71(6), 1117–1126. https://doi.org/10.1136/gutjnl-2021-325214PMID: 34376515

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4 Johannesson, E., Simrén, M., Strid, H., Bajor, A., & Sadik, R. (2011). Physical activity improves symptoms in irritable bowel syndrome: a randomized controlled trial. American Journal of Gastroenterology, 106(5), 915–922. https://doi.org/10.1038/ajg.2010.480
PMID: 21206488

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21206488/

5 Zhang N, Gao X, Li D, Xu L, Zhou G, Xu M, Peng L, Sun G, Pan F, Li Y, Ren R, Huang R, Yang Y, Wang Z. Sleep deprivation-induced anxiety-like behaviors are associated with alterations in the gut microbiota and metabolites. Microbiol Spectr. 2024 Apr 2;12(4):e0143723. doi:10.1128/spectrum.01437-23. Epub 2024 Feb 29. PMID: 38421192; PMCID: PMC10986621.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38421192/


記事の監修

西村 今日子

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